「ブラックボックス:音声分析捜査」のピエール・ニネが良かったので、彼の主演作で何か観てみたくなっての鑑賞。
ココ・シャネルやクリスチャン・ディオールと並び称されるフランスのファッションデザイナー、イヴ・サンローランの伝記ドラマ。
1953年、パリ。亡きクリスチャン・ディオールの後継者として関心を向けられるファッションデザイナー、イヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)。21歳の若さにしてファッション界の寵児として崇められた彼とその恋人ピエール・ベルジェは、ファッションの革命をもたらしていく—— 。
色白で線の細いピエール・ニネは、その不安定さを体現する事に於いてはハマり役。
世界的な名声と富を得ながら、その反動で薬物とアルコールに溺れていくイヴ・サンローラン。混乱した天才をその影で支え続けた男性ピエール・ベルジェの目線で語っていく構成。
コレクションで披露される、デザイン性の高いファッションを眺めるのは楽しいものの、これといった山場がなく、淡々と彼の生涯を追うだけのドラマに終始してしまっている。
正直、ファッションに興味がなければ退屈なだけ。ブランドの影に隠された凋落を描くという意味では、「ハウス・オブ・グッチ」がとてつもないインパクトを持っていただけに、こちらはあまりにマイルド過ぎるし、薄味。あちらが濃厚なスープならこちらはお粥。
調味料入れ忘れていますよ、監督さん。