rosechocolat

プロミスト・ランドのrosechocolatのレビュー・感想・評価

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)
4.0
近年問題となっている、グローバル企業による市場開拓と、買収対象の住民たちのせめぎ合いをテーマにしている。

「天然ガスの採掘で潤う」を宣伝文句に、田舎町を担当する営業マンと、彼に随行するローカル担当の女性営業マン。住民たちを金で丸め込む先に、反対派住民や環境保護団体が立ちはだかる。

利潤のためにはいけないとわかっていても、仕事だと割り切れれば何でもできてしまう、またそうせざるを得ない人間が勝ち残る。しかし自分たちの行動が悪影響をもたらすことも心のどこかで知っている矛盾。資本主義からグローバル化へと、さらに利潤重視が進む中、非常に現実味がある内容。

懸命に、自分の成功と企業のために尽くす男に投げかけられる言葉。必要な人が離れていく無念さと、反対派の男の巧拙さに悩まされながらも着々と進む動き。しかしながら最後に営業マンに示された現実は、グローバル企業と謳われる所の非情さを見せつける。そして男は、「みんなの納屋」を守らずして、自分自身も守れないと悟っていく。答えは出ないかもしれない、そして男の未来もわからない、しかし彼は敢えて選び取った。

良心の話なのだろう。人は良心を殺して生きることにどこまで耐えられるのか。これからはこんな踏み絵のような現実だらけになっていく、そんな世相を上手く反映した物語。

マット・デイモンの「いい奴」キャラが生きている。久しぶりにじっくり見た、フランシス・マクドーマンドの「パサパサ感」も皮肉にもマッチしている。ジョン・クラシンスキーは好きな俳優ってのもあるけど相変わらずスタイルいいねw もっと日本で観る機会が増えるといいなと。
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