これはノア・バームバック文脈ではなくグレタ・ガーウィグ案件ですね…共同脚本とのことです。
個人的に「レディ・バード」はハマらなかったんです。親子とか疎いんで、一番エモいところで置いてけぼりをくらいました。
でも、本作はめっちゃめちゃ大好き!
たぶんですけど、前日の夜からちゃんとノア・バームバックに漬け込んで煮込んでるから、絶妙にグレタ・ガーウィグ味がマイルドになって唯一無二な作品になってる気がする。
グレタ・ガーウィグ味って何!?
◆フランシスはモダンダンサーとしての成功を夢見る27歳の女性。ある日、同居人のソフィーから別のアパートに引っ越したいと言われ、住む場所に困るところから物語は始まります。
◆モノクロ
全編モノクロです。
映画という情報量の多い表現で、あえて情報量を減らすメリットは残った情報の強調だと理解してます。
強調されるのはフランシスの職業でもあるダンサーということ。
つまり、表情といった細やかな動きというよりは躍動的な動き。
フランシスは物語的な立ち位置からしても27歳にしては“幼い”です。なんか動作が大きいし、やたらと走り回る笑
モノクロだからこそ、それらの挙動が幼さではなく“生き生きとした”印象になっていたように思います。
◆自己中心的な幼さと客観性
フランシスは端的に言えば自己中心的な人物。本作では複数の共同生活の変遷を経て自身を客観視することで世界との関わり方、距離感を掴む。
自分の意見に無条件で同意してくれるソフィーを「自分と瓜二つ」と言っちゃうあたりに共感性羞恥必須!( ´゚д゚`)アチャー
客観視を与える“トドメ”が身体性だったりするところもオシャレで好き。
◆過去作品
ノア・バームバックあるあるな知的拗らせキャラのエピソード0感あります笑
「今でこそ、こんなに嫌なやつになっちゃったけど若い頃は夢を追いかけてハツラツとしてたんだろうな…」が本作のフランシス!みたいな!(あくまで個人の感想です)
ということで、最初からなんかにやにやしながら幸せな気分で観てました笑
◆蛇足
映画の終盤。訳あってフランシスの部屋に泊まることになったソフィー。
約半年ぶり?な再会のソフィーがフランシスに借りて着ているTシャツに声出して笑ってしまいました。まさかの伏線で、こういう奇跡的な瞬間にこそ人生の素晴らしさを感じます。
借り着シャツグランプリ第2回大会優勝です。
(第1回優勝は「モテキ」の長澤まさみです。)