三樹夫

シャークネードの三樹夫のレビュー・感想・評価

シャークネード(2013年製作の映画)
2.8
もはやサメ映画の最大勢力になっているんではなかろうか奇想系サメ映画の筆頭作品。まあ奇想系というかバカ映画というか。サメ映画の王道かつ常套手段の演出は、先にサメの存在を見せておいて、サメに気付かずのんきに海で泳いでいることで、サメに襲われるんでないかというハラハラが観ている者に発生するサスペンス演出なのだが、この映画は有無を言わさずいきなりサメに襲われるというサスペンスもへったくれもない剛腕な手法で作られている。室内にいようが窓ぶち割ってサメが侵入してくるし、挙句トルネードでサメが降ってくるのでどこにいようがサメに襲われる豪快な手法がとられている。

前半は『ディープ・ブルー』+『フラッド』というか、『クロール -凶暴領域-』のサメ版というか、竜巻により洪水が発生しそこらじゅうが浸水したためサメに襲われるという、水のあるところサメありの、スクアーロのスタンド能力サメ版みたいな事態になる。主人公の元妻の家の窓ぶち破っていきなりサメが入ってきたシーンは爆笑した。
後半は浸水により街がサメのテリトリーになるという理屈をかなぐり捨て、トルネードでサメが降ってくる、元々低いIQがさらに下がるという荒業をキメてくるエンターテイナーっぷりには脱帽する。挙句、トルネードを消すには爆弾を放りなげるだの、サメにチェンソーで立ち向かうだの、実写版チェンソーマンになって終わるプログレッシブシャーク映画。

低予算感+テキトー感は満載で、プレステ2初期みたいなCGのサメに、街が浸水したり警察がパトカー走らせている映像は明らかニュース映像のフッテージだし、主人公たちの後ろをのんきに車がバンバン走っていたり(車止めしなかったんだな)、晴れているシーンもあれば曇ってるシーンもあり、浸水しているし雨も降ったはずなのに地面が乾いてるシーン多数、後出しジャンケンみたいに息子の存在が急に出てくるなど、金も手間暇もかけれんから細かいことには一切こだわらない姿勢がビシバシ伝わってくる。
この映画の製作会社アサイラムのCEOとCOOによると、設立当初はアート映画を扱っていたがマーケティングにより観客が観たい映画、楽しくてお気楽なB級映画路線にシフト。他の製作会社は断り方を知っているが、アライサムは断り方を知らない。正直、日本以外の他の国では本当に嫌われている。マイケル・ベイ監督の作品を彷彿とさせる深刻さも併せ持っているが、マイケル・ベイ監督よりも予算がないだけ、めちゃくちゃで安上がり。アサイラムと他社との違いは、俺たちは心からB級映画を愛している、ということ。日本のシャークネードファンに向けては、他にやること探しなさいとのこと。
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