スズランテープ

リトル・フォレスト 夏・秋のスズランテープのレビュー・感想・評価

4.0
『胃の中の蛙という生き方。』
うーん好き!ファーストショットで完全に好きな映画だなと思ったんだけどずっと見てられる系映画としてかなりよかった。料理とそれを作るプロセスが視覚的にも内容的にも面白すぎる。

もともと橋本愛さんが大好きっていうのもある。
橋本愛さんほんっっっっと魅力的な女優さん。田舎街の雰囲気とその生活に綺麗に溶け込んでいた。

ナレーションが多くドキュメンタリータッチで描けるんだけど橋本愛さんの声が本当に綺麗で聴き心地が良かった。

人生で一番副交感神経と五感に効く映画だった。
田舎街の音一つ一つがなんとも郷愁を掻き立て、美しい風景が目を浄化する。そんな感じの作品だった。四季をテーマにした作品なのでその変化の様子も見事に捉えていた。夏の深緑の風と秋の黄金色の風、この両方が美しく癒された。

三浦貴大のキャラクターの会話には考えさせられた。現代の既存の価値観に一石を投じるような作品は大好きなのであそこでだいぶ株が上がった。
まだ冬、春見てないからわからないが『胃(井)の中の蛙』という言葉が少しポイントになりそう。

上京をして〜とかが一般的な価値観としてまかり通っているが田舎街に戻った主人公の生活には濃密さと羨望を感じてしまった。『胃の中の蛙』で何が悪い?って思った。

この映画の嫌いだったところは、映画的ストーリーが動き出す時にナレーションはいらないかなと思った。ドキュメンタリータッチで進む作品なのでそこにナレーションが組み込まれるのはいいが、映画的なストーリーが動き出す時は少し邪魔に感じた。そこの切り替えがハッキリできていたらだいぶ評価は上がった。


全体的に静かで大人しい作品を好む人にはかなりおすすめできる。大きな展開がないと映画を見れない人には全くお勧めできない。













軽くネタバレ⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️
この映画のめちゃくちゃ好きなところは鴨の解体シーン。ここで鴨の解体というかなり生々しいシーンをしっかり描くことによって映画全体のメッセージ性や描きたいことが引き締まっていたと思う。

自然の摂理や循環、生命とどのように向き合うのか。食と生きるということへのフォーカス。そういった作品全体のテーマがかなり刺さった。


冬、春でどのような答えが出るのか非常に楽しみ。
スズランテープ

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