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リスボンに誘われてのharamouthのレビュー・感想・評価

リスボンに誘われて(2012年製作の映画)
3.3
色気ドボドボおじさんことジェレミーアイアンズ。
枯れオジ感と、ふとした瞬間の色っぽさのバランスが絶妙にして至高…。

スイスの高校で古典を教える孤独な主人公(ジェレミーアイアンズ)は、一冊の本との奇妙な出会いに導かれてポルトガル・リスボンに向かう。その著者について調べるうち、70年代の独裁政権に対するレジスタンス活動に身を捧げた若者たちの生き様が見えてくるのだった…

基本的にはおっさんの歴史探訪。
ポルトガルのレジスタンスについては全く知識ゼロだったから興味ぶかい。とはいえ歴史を丁寧にレクチャーしてはくれず、あくまで市井の人々を描いた物語。時代はいち背景にすぎないから自分で調べなくちゃね…

社会が大きく動いた70年代リスボンの地で、特権階級のしがらみ・病・家族や友人…あらゆるものに苛まれながら懸命に生きた青年の姿を、数十年後の同地で人生の何度目かの角を曲がった男が目を細めつつ眺める。
過去の若者たちの姿と、いまを生きる人々との触れ合いが、パサパサに乾いた主人公の心に水を注ぐ。
人生を生きるのに遅すぎることは無いのだと、清々しく賛美するようなラストにはほんのり涙。
変わり映えの無い日々をぼんやりと過ごしてしまう今日このごろ、希望を持って生きよと励ましてくれるような作品でした。
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