Toineの感想文

リスボンに誘われてのToineの感想文のレビュー・感想・評価

リスボンに誘われて(2012年製作の映画)
3.6
【美が垣間見える哲学】
久々にジェレミー・アイアンズ様主演の映画を鑑賞いたしました。
愛に打ちひしがれて滅んで逝くアイアンズ様の演技しか観たことがなかったのでこちらの作品は新鮮でした。
メラニー・ロランさんもご出演されていたので嬉しー!

冒頭の衝撃的な出来事をきっかけにスイスのベルン駅からポルトガルのリズボン行き列車に乗っちゃう流れが鮮やかだこと。
うっかり心を掴まれます。

1冊の古本が人生を見つめ直すきっかけに。
本の作者アマデウ氏の生地と、関わりのある人達に会って昔話を聞いてまわる教師のアイアンズ様。
アマデウ氏が生きていた悲しい時代。
人間の残忍さ。秘密。
ゆっくりと紐解かれていく。

ロケ地のベルンやリズボンの街並みが本当に美しかった。
そこを行き来するアイアンズ様も美しくてまるで旅先案内人のよう。
芸術点の高い映画でした。
実際に私もリズボンに行ってみたいです。

心惹かれた古本の作者の軌跡を巡り自分の人生と重ね合わせる部分や、アマデウ氏の著書の内容(過去の回想)が何だか哲学っぽいなと。
鑑賞後に調べてみたら原作者がスイスの作家兼哲学者とのこと。
文学と哲学のコラボレーション。
とっても素敵でした。
映画では色々な部分が省略されている感じがしたので原作の小説「リズボンへの夜行列車」も読んでみようと思います。

それにしてもあんなに心を突き動かされる本に出会えたなんて羨ましい。
本でなくともこれから何か強烈に心惹かれるものに出会えるならばもっと人生の満足度が上がりそうだなと思いました。