ぞん

ソロモンの偽証 後篇・裁判のぞんのレビュー・感想・評価

4.0
映画館でチラシを見つけ惹かれたので原作を探した所、文庫で6冊に驚愕しましたが読みきって劇場観賞しました。

この映画で一番個人的に良かったのは、原作で大事だなと思った部分を丁寧に描かれ、そして順序よく進めていった所です。
やろうと思えば、涼子をスーパー中学生にしたり、裁判での犯人探しを祭りのように演出したりすることも出来たと思います。
監督によっては、そちら方面へ行くだろうなと原作を読んだ際に思いました
。でも違いました。

子供らしい弱さを家族のやりとりで描きながら、あくまで主軸は中学生達にきちんと置かれ、大人達が一歩下がって見守っているのが伝わってきて感動しました。
また松子ちゃんのシーンが増えていたのも良かったです。小説でも松子ちゃん側に立つことで、ぐいぐい引き込まれましたし、事件を当事者のように真剣に考えさせられました。

一つの面から悪や善を決めることが出来る簡単な物語ではなく、自分から見るとなぜこんな行動を取るかわからない人物を理解しようと努め、失敗して失っても向き合った事こそ大事なメッセージな気がします。

一つ不満なのが担任の描き方でしょうか。柏木くんの霊が、の辺りは全くいらなかったと思います。

全体を通じて、宮部さんの原作をきちんと読まれていて好きなんだろうなと思える、とても丁寧で素晴らしい映画化でした。
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