ぞん

クリーピー 偽りの隣人のぞんのレビュー・感想・評価

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
3.5
原作を読んでから見ました。
まず、原作とはかなり違います。

ミステリーとしても楽しめた小説とは違い、映画は『隣人』のサイコパスさを全面に押し出したものになっていました。
ストーリーの流れも結末も、全くの別物です。
共通しているのは、隣人がとんでもない化け物でゲリラ豪雨のように巻き込まれていくという点でしょうか。

大きな違いは、東出さんが演じられた野上という刑事。香川さんが演じられた『隣人』と小説ではかなり深い繋がりがあり、のちに野上から『隣人』がどこの誰なのか正体がハッキリするようになっています。
しかし映画では、ただの主人公の昔の部下にすぎません。
なので最期まで『隣人』がサイコパスだとは分かっても『隣人』が一体どこの誰だったのかが明かされません。

さらに違うのが主人公の奥さんで、それはストーリーの流れ自体が大幅に変更されているためかと思います。

違うとは言っても要所に小説の設定や流れを汲んでいるのですが、変更したストーリーに合わせようとした結果、登場人物達の行動に違和感があるシーンがありました。

また『隣人』が安易に薬物を使って人を陥れる感じになっていて、原作の徐々に言葉巧みに人に付け入る怖さが出てないです。
最初に感じ悪い印象だったのに何故かビーフシチューお裾分けにいったり、皆ノコノコ地下に入っていったり…小説では見事に『隣人』と関わらざる得ない状況にもっていっていたのに残念。

サイコパスの不気味さや怖さは全面に出ていたし、香川照之さんや他のキャストの方々が凄かった!

ただし原作の大枠だけ借りたって感じの内容変化で、これは作者の方は気の毒じゃないかなと思う。
小説はもっと緻密で、謎も全部分かるようにないます。
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