えんさん

ランナーランナーのえんさんのレビュー・感想・評価

ランナーランナー(2013年製作の映画)
1.0
オンライン・カジノに手を出した学生が、そこでのイカサマを暴きに行ったら、逆に大きな陰謀の渦に巻き込まれていくというお話。主演は「ソーシャル・ネットワーク」や「TIME」など、近作では良作への出演が多い、ジャスティン・ティンバーレイク。よく知らないですが、この人って、もともと音楽関係のアーティストではなかったでしたっけ? それでも俳優としての伸びしろも確実に掴み続けていて、選んでる作品がいいのか、キャリアとしても順風満帆のように思います。残念ながら、本作に限っては、そうはならなかったですけどね。。

基本的に、本作は話としては悪くないと思います。ただ、それはあくまで話の筋だけのことであって、映画っていうのは、単純にそれだけだと成立しないところが多分にあると思っています。例えば、「むかし、むかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。」という1つの設定に対しても、昔って、どれくらいなの? あるところってどこ? お爺さん、お婆さんは何歳くらい? 子どもや孫はいるの? 仕事はやってるの? 仲は良いの?、、、、等々、いろんな付加情報を演技なり、舞台なり、カメラワークなり、キャラクターの喋る台詞であったり、音楽や情景だったりでつけていく、、それが演出ってものだと考えています。本作は、下手をすれば、「むかし、むかし、、、」から始まる設定しかない。それを上辺だけ、各俳優が演じて流してしまっているので、映像からはあらすじしか読めないわけです。これって、そもそも映画ではないと(極論すれば)思います。

ティンバーレイクが主演だからいうわけではないですが、本当にミュージックビデオのような薄っぺらいドラマ作りなので、話として、最後の最後にどんでん返しがあっても、サスペンスとしてハラハラドキドキしない作品になっています。監督のブラッド・ハーマンは「リンカーン弁護士」でも観ていますが、単純だけど骨太な作品作りのほうがあっているのではないでしょうか。いろんな話が伏線も交えて過ぎ去っていくような、複雑な構成の本作では1つ1つのエピソードが薄っぺらく感じ、手掛けるにはちと力量不足だったかと思います。仕事をしながらとか、勉強をしながら、流し見で観るくらいがちょうどあっているように思えた作品でした。