一人旅

PAN ネバーランド、夢のはじまりの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ジョー・ライト監督作。

ロンドンの孤児院で育てられた少年・ピーターが、ネバーランドを支配する海賊・黒ひげを倒し、生まれてすぐに生き別れた母親と再会するため奮闘する姿を描いたファンタジー。
オーソドックスな『ピーターパン』の実写映画化ではなく、少年ピーターがピーター“パン”になるまでの過程をダイナミックな最先端映像で綴った、『ピーターパン』の前日譚的作品。誰もが知るピーターパンの物語からは想像もできないほどオリジナリティの溢れた脚本が魅力的だ。
とは言え、ピーターパンを語る上で必要不可欠なお馴染みのキャラクターたちは、アニメ版とはテイストを変えながらもきちんと登場してくれているのが嬉しい。恐ろしさよりも人間臭い可愛らしさが特徴的だったアニメ版のクロコダイルは超巨大な凶暴ワニになっていたり、人魚やティンカーベルの造形もデフォルメされた可愛らしさは控えめで、リアリティを重視した姿に生まれ変わっている。その一方で、カートゥーン調の鳥怪獣が登場したりもするので、色んな世界観がごちゃ混ぜにされた印象。また、フック船長が仲間という設定も斬新で、しかもその性格は男らしい勇気と正義感に溢れている。極悪というフック船長の既定イメージを覆す新たな人物像が魅力的だ。
また、『プライドと偏見』や『つぐない』を撮ったジョー・ライト監督だけあって映像はさすがに綺麗。ロンドンの街並みは『つぐない』における欧州風景の美しさを彷彿させる。また、空中移動する海賊船、ネバーランドのファンタジックな造形は圧巻の美しさ&ロマン。原住民の家屋や民族衣装の色鮮やかな美しさも印象に残る。
そして、愛、自由、希望、夢、信じる心などをテーマにした物語は不覚にも感動的。キッズ向けかと聞かれれば間違いなくキッズ向けの作品ではあるが、伝えたいことをストレートに伝えてくれるので素直に感動できる。
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