ちろる

6才のボクが、大人になるまで。のちろるのレビュー・感想・評価

3.8
まずはこの執念に脱帽です。
実話ではないですが、6才の少年が大人になっていく過程を本当に同じ間キャストで12年間を特に作り込んだ演出もなく撮り続けます。
ドキュメンタリータッチだけど、ちゃんと、ストーリーにもなっていて飽きないタイミングで時間がちゃんと飛ぶ、絶妙な編集。


膨大な量で綴られる少年の時間が教えてくれるのは、その時間の重さです。

子供頃遊んだ幼馴染との時間や、母の再婚で出会った連れ子と過ごした日々。

3時間という短い時間の中に凝縮された中でそれらを観ると、なんでこんなにも簡単にその時間を忘れたように過ごせるのか不思議で仕方ないけれど、ふと自分に置き換えてみると、6才から18才なんて一番身体も心も変化する時期に、5年前は毎日遊んだ幼馴染でさえも他人のように振る舞えるような薄情さは自分にも確かにあった。
この一番大切な12年間の日々に色んな知識を吸収し、色んなものを得ると同時に、大切なものを失ったり、忘れたりする。

それこそが人生なんだろうなとふと気づかされます。

この映画でそれぞれ感じるところは違うと思うけれど、時間により変わりゆく日々は人を変化させ、人生を変えるというのにここまで説得力を持たせてくれるものってなかなか無いと思います。
主人公は少年ですが、最後にパトリシアアークエットが言う台詞が全てを物語り、かなり胸を鷲掴みにします。
この物語は少年のものでもあり同時に母親や父親のものなんだと気づかされます。
だから子育てを終えた人やお母様方には是非みて欲しいと思う映画でした。
ちろる

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