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悪徳の栄えのShoMのレビュー・感想・評価

悪徳の栄え(1988年製作の映画)
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226事件直前、没落貴族が犯罪者を集め「悪徳の栄え」を演じる。サド『悪徳の栄え』を劇中劇にした、『Wの悲劇』ような構造。『帝都物語』直後の実相寺昭雄作品ということで、裏・帝都物語な趣もある。

物語と演者の境遇・関係性がシンクロし、やがて筋書から逸脱していく。屋根裏部屋での逢引のシーンで人形が動き出すのは、演出家=支配者である不知火侯爵の手から、彼の操り人形である夫人が自立していく暗喩かと思ったら……。

人形の腹からこぼれる内臓のような苺、食べこぼしを女に食わせる食事会。冒頭から退廃的で悪徳に満ちた映像。

中堀正夫、牛場賢二、池谷仙克ら熟練スタッフの技巧と、清水紘治、寺田農ら常連キャストの我が意を得たりな演技に酔いしれる。
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