唯

美しい絵の崩壊の唯のレビュー・感想・評価

美しい絵の崩壊(2013年製作の映画)
3.5
男女4人だけの世界を形成していたら、おかしなことにならない方がおかしいのであって、起こるべくして起こった感が半端ない。年齢や立場に関係なく、ある程度の距離を保つことは大事だよなあ。あり得ないなんてあり得ないもの。
にしても、展開が早い。柔軟性が高いと言えば良いのか。
4人ともとち狂っていて人間らしくて好きだわ。
この異常な関係性なのに、至って普通のカップルのようであり、2年も円満に続いていたことが驚き。
こんなに狭い範囲で生きているうちは丸く収まっていたのかもしれないが、一歩外に出てしまえば人間など星の数ほどいると知る。
歳の若い相手を持てば、常に老いの恐怖に怯えることになるしね。

イアンの言う通りで、正しさを拠り所にしてそれを貫こうとするのは自分を守るためでもある。
ロズはイアンの人生を考えてというのもあるだろうが、自分の人生設計を理想通りにすべく彼との関係を切ったのではと思ってしまう。
不倫する既婚者は身勝手だ。不倫でもないけど。

自分の気持ちを押し殺して違う相手との関係を築こうとしても、それは偽りであることは間違いなくて、そうした関係は必ずいつか破綻する。
それがどんなにおかしくたって良い。
自分の心を歪める方が余程おかしいことであり、正直にあることの方がずっと正しいことだ。
唯