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マダム・イン・ニューヨークのSpicaのレビュー・感想・評価

4.2
「自分を助ける最良の人は自分」

母としても妻としても完璧と言えるほどしっかり役目を果たしてきた主婦のシャシ。それなのに夫にも娘にも上から目線で軽んじられ、英語が出来ないと言うだけで小馬鹿にされる始末。そんな彼女が姪の結婚式の準備のために1人早めにニューヨークへ旅立つことに。NYでも言葉の壁により屈辱的な思いをした彼女は滞在中に語学学校に通い英語を勉強し始めるが…というお話。

ボリウッド映画といえばムトゥなどド派手で賑やかなイメージばかりが頭に浮かんでしまうけど、こちらはダンスや歌も取り入れつつもそれは物語に彩りをそっと添える感じで。

とても古風な暮らしをしてきたシャシが、語学学校の先生や仲間たち、彼女に惚れちゃった熱きフランス男性ローラン(良い人なんだけどちょっとのめり込み過ぎなのよ)、理解のある姪っ子、様々な人に支えられつつ、新たな学びや経験を通してぐんぐん輝いて成長していく物語を、一歩一歩、階段を登るように丁寧に描いていて、画面のこちら側で思わず拳を握って頑張れ!と力が入ってしまうくらい、とても素敵な物語でした。

ラドゥ(お菓子)を作るために彼女は生まれたようなもんだ、とほざく夫や、どうせ何言ってるかわからないからと英語で母親を貶める娘にはイライラMAX。でもそれをぐっと飲み込み黙って英語の勉強を陰で続けるシャシ。自分ならとっくに爆発しちゃってるかも。

そしてヒンディー語とフランス語で本音を語り合うシャシとローランを見てると、言葉は通じなくても気持ちは通じるんだなと思いました。

結婚式での彼女のスピーチは素晴らしかった。言葉も凛とした姿も本当に美しかった。
自分を愛すること、対等であること、家族の大切さ、たくさんの勇気をもらえる作品でした。

(シャシ役のシュリデヴィさんが数年前に若くしてお亡くなりになったと知りとても残念です)
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