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わたしは最悪。のSpicaのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.9
勉強も仕事も恋も、目移りばかりするユリヤの自分探し。なりたいものに近づくたびに違和感や物足りなさを感じ、また別のものへと気持ちが向いてしまうユリヤ。
彼女の心を表すがごとく焦りと不安で目まぐるしく変わる煩雑とした前半とは対照的に、10章からエピローグに向けて一本の線のように集結していく様が、やっと目の前のモヤモヤした霧が晴れていくようで良かった。
心の赴くまま痛々しいくらい奔放な彼女にときどき呆れながらもその行動力がとても羨ましく感じた。

街中を彼女が駆け抜けるシーンが印象的。

北欧の落ち着いた色合いの映像とは対照的にポップでダークな粋な音楽も心地よく、見終わってから心にさまざまな場面がふっと浮かんでくる作品だった。

「君は最高だ」と心から伝えてくれる人と出逢えた奇跡。それに気づけないまま失ったとしたら「最悪」かもしれない。
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