イチロヲ

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIEのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
何をやってもうまくいかないダメ人間のチャーリー・ブラウンが、多芸多才な万能犬スヌーピーによる指南を受けながら、赤毛の少女との恋の成就を目指す。世界的人気の漫画「ピーナッツ」を高密度のフルCGでアニメ化した作品。原作者の息子クレイグ、孫ブライアンが脚本を手がけている。

ファンが見たがっているであろうシーンを原作から切り貼りしたような構成。「愛のあるパッチワーク作業」であることがきちんと伝わってくるため、厭わしさはまったく感じない。何よりも、チャーリーのダメ人間っぷりを、手抜かりなく描写しているのがエライ。彼の自律神経失調症を患っているかのような人間性こそが、ピーナッツの最大の魅力。

映像面では、奥行きを重視した演出をふんだんに用いているため、鑑賞前にあった「CG映像の恩恵はスヌーピーのモフモフ感だけではなかろうか…」という杞憂は見事に吹き飛んだ。

さらに予想外のところで嬉しかったのが、日本版の声優陣による名演技。声優に子役を起用するのは原作者シュルツの遺志によるものなのだが、本作の子役の演技は棒読みのテレビ版とは違って本当に素晴らしい。とくに、ペパーミント・パティのハスキーボイスが印象に残る。

劇中音楽はオーケストラ演奏によるオリジナル楽曲がメインであり、テレビ版の「Linus and Lucy」がファンサービス的に各所で流れる。テレビ版を知っていると、「既存のジャズ音楽をもっとたくさん取り入れて欲しかった」という欲求に見舞われてしまう。

重箱の隅を穿つことはいくらでもできるが、鑑賞中の多幸感・高揚感については「マッド・マックス怒りのデスロード」に比肩するレベル。もしも次作があるならば、私の好きなスパイク兄さんが活躍できる内容であることを願う。

やはり、チャーリーとペパーミント・パティの、陰と陽のコンビネーションがとても面白い。この二人のやり取りだけ、ずっと見続けていたかった。

※オマケ情報
本編中でペパーミント・パティが間違えた書籍のタイトル。
(誤)Leo's Toy Store by Warren Peace
(正)War and Peace by Leo Tolstoy