ろく

しびれくらげのろくのレビュー・感想・評価

しびれくらげ(1970年製作の映画)
3.9
渥美マリと増村保造がタッグを組んだ「軟体動物シリーズ」第2弾。ほかには「いそぎんちゃく」なんかあれど増村はこれと「しびれくらげ」だけ。ここでも渥美マリは「胸は見せないの。私女優よ!」が止まらない。増村、ほかの女優さんは簡単に胸を見せているのでこれは渥美の要望なんだろうな(その後の引退騒動はそれらしかったから)。

もうね、まず渥美の読点の多い喋り方がツボなのよ。演技としては下手よ。でもそこが面白くて(ブルトンだったら異化効果って言うぜ)もう頭の中でリフレインが止まらない。「お父さん、どうしたの、その、お金」あああ、これ観てほしいなぁ、くせになりすぎ。

また前回はお母さんがゴミだけど(それでも優しさがあった)、今回は父親役の玉川良介がくず過ぎて愉快愉快で止まらない。お父さんが美人局にひっかかりヤクザに追われ、それをいやいやながら渥美が助けるという屑ストーリー。ああ、もう玉川の「ひぃぃぃぃ」って声を聴くだけで笑い止まらないんだから。

そして今回は川津祐介が嫌な奴イケメンで悪役(まあ渥美を会社のために外人と寝てくれって言っちゃうくらいだから)。じゃあメインイケメンはっていうと田村亮。おお、かっこいい。あのね、暴力振るっているシーンすらも恰好いいんだ。でもこの時代の男ってなんでこんなに暴力的なんだろう。コンプラ違反だぜ(そこがいいんじゃない)。

今回は渥美マリの見えそうで見えないエロシーンと読点だらけの会話、そして玉川良一のくずくずくずくずくずっぷりを楽しむ映画ですよ。ただし最後までなぜ「しびれくらげ」なのかは意味不明。そこがいいんじゃない!
ろく

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