乙郎さん

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版の乙郎さんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 人気シリーズの劇場版は、アイドルの小明が本人役で登場したり、扱うものもタタリ村とスケールアップしていたりとかなり今までと違った趣向が目立つ。
 ただ、実のところ本来多くの人に開かれているはずの映画版が、それまでの謎を回収する展開が多く、これまでシリーズを観ていないとわからないかもしれないとは思った。
 ただ、そういった欠点を補って余りある、なんなら今すぐシリーズ全部レンタルしてこいよと工藤Dばりに命令したくなる作品。
 
 まさかね、いくらポジションとしてこの手の映画に出ることの多い小明をキャスティングしているとはいえ、まさかあそこまでひどい目に合わせるとはおもわなかった(笑)
 それと、前のエントリで触れ忘れたことに、3作目あたりから登場したメタ展開の面白さがある。
 この『コワすぎ!』シリーズ内でも『コワすぎ!』のDVDが発売されており、投稿者等はそれを観て映像を投稿してくることもある。
 さらにその様子もまた『コワすぎ!』として発表されるという、実に面白い構造。また、このリアルとフィクションの境目をあいまいにしてくる感じが、本作の向こう側にある「世界」のあり方とも似ていて、そこがまた面白い。
 で、『コワすぎ! 劇場版・序章』にて工藤Dが「これ映画にしよう」と言って、そこから劇場版につながるわけです。
 そして、この映画内では工藤Dも市川ADもとんでもなくひどい目に合う。
 しかし、終盤にあったある展開*1を見ればわかる。あの時、ちょっとこう思ってしまった。もっと長く見たい。もっと豪華な映像で見たい。

 この映画を最後まで見て、工藤Dや市川ADに思い入れが生まれている身から思ったのは、この映画がホラーにしか着地できない悔しさだった。
 俺が湯水のように予算を使える映画プロデューサーなら、たとえ馬鹿アクション特撮と言われてもいいからハッピーエンドにもっていったのに、と。

 ここなんです。『コワすぎ!』に出てくる「向こう側の世界」はあまりにも巨大で、ビデオカメラでは立ち向かえないほど。それに立ち向かうには、この想像力にちゃんと予算を与える必要がある。
 この映画それ自体が仲間を募っているような、そんな印象を受けた。
 そこも含めたメタ展開なのではないかと。

 だから『コワすぎ!』次回作はもうホラーじゃなくていい。アクションSFにしてほしい。
乙郎さん

乙郎さん