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五番町夕霧楼のMypointofviewのレビュー・感想・評価

五番町夕霧楼(1980年製作の映画)
3.5
松坂慶子さん演じる夕子は、実に魅力的だった。19歳には見えない美しい顔立ち、内に秘めた幼さ、まさに昼間は清女で夜は娼婦というに相応しい魅力が、上品に健気さをももって実在させていた。

松坂慶子さんの持つ声の魅力(個性)や、あどけなさと大人っぽさを見事に融合させていた。あれが役者の持つ、独自の魅力を使った芝居だと思う。

また物語にあった、いわゆる金閣寺放火事件の下りは、事実を調べてみたい。

ラストシーン、海岸で夕子が自殺したが、彼女の亡骸の上に、正順の遺骨を置いて、一緒になりたかったんだろう。と泣きながら言う場面は、あまりにも予想外で嗚咽してしまった。言葉には表せないほど、これ以上悲しいものはないと感じた。