Mypointofview

息子のMypointofviewのネタバレレビュー・内容・結末

息子(1991年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

一番手がかかった息子・次男が結局は1番自分に似ていて、どこへ行っても寂しい思いをしていたがこの息子のところで元気を取り戻す。素晴らしいお話だった。

脚本がよかったのはもちろん、それを三國連太郎さん演じる父が、あらゆる感情を表情ではなく行動や小さなテレビサイズの身体表現で表す。こちらも映像の中のこの父親の心を、なんとか探ろうと自然と心の目で見ようとしてしまう。実際人とコミュニケーションをとるときは、このようにして相手の心や感情や伝えたいことを読み取っていくので、その動作をさせられてしまった。これぞ名優の技だと思った。体の奥からどうしても涙が込み上げてくるのを感じた。とてつもない芝居である。

一方、永瀬正敏さんの受け芝居も、全てのシーンにおいて素晴らしかった。主人公として息子を演じていたが、主役として120パーセントの演技派の芝居。他のキャラクターが、あらゆる感情にこの主役をさせるが、全てきちんとした受け芝居をしていて、このシーンがどういうシーンなのかを伝えてくれた。この年齢で、これだけ厳密な芝居ができるセンスと才能をはっきりとみせてくれた。永瀬正敏さんは本当に芝居の上手い俳優である。
「あん」を観ていた時にも思っていたが、私は永瀬正敏さんのお芝居が好きです。