ふかい

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のふかいのレビュー・感想・評価

3.6
予告編を見る限り、このような作品は「一定量の面白さは保証されているけど、批評的にはそれほど受けがよくない」イメージがあったんですよ。

でもこの作品、観客の評価が高い高い。そんなに言うなら同じ系統の作品とどのような点で差別化されているのか、確かめるべくと思い劇場に足を運びまして。

まぁ結果的には、最初のイメージまんまになってしまったかなぁ…。期待しすぎたっていうのも少なからずあると思うのですが。

確かに、面白かったです。面白かったですが、鑑賞後に何が残ったかと言われれば…うーんですよね。例えば、最近では「それでも夜は明ける」という作品。ベネディクトカンバーバッチ繋がりではないですが、「こんな史実があったんだ!」という上に、「やはり人種差別は良くない」とどんなアホな人間でも思いますよね。でもこの映画は、前者の「史実の発見」で止まっているんですよ。それはね、同性愛者の迫害とか、他国のスパイ諸々、話の展開における仕掛けとしては用意されているんですが、どれも物語の核となる部分ではない。ただ「偉人は誰も相手にしないような変人、そして生きている間は評価されない」というテーマを延々と描いているだけ。なぜそこに着地してしまったのかというと、最後にタイトルの中にもある「秘密」というものが明かされていくのですが、それがあまりにも事務的に話を終わらせているので、今まで描いてきたさまざまな"問題"がそれとは違う方向に着地しており、宙ぶらりんになってしまっているような気がしまして、結局「何を描きたいのかよく分からない作品」になっちゃってる。それならいっそ、ダウナーな展開のままで終わらせた方が良かったんじゃないのかなぁ〜なんてウダウダ妄想などしているのですが。要はそのような点でやはりそれほど他とは違う優れた作品とは言い難いんじゃないかと思いましたね。

こんなにネガティブなことを書き連ねてしまいましたが、見てる間は結構楽しめました。まぁとにかくキーラナイトレイに「はじまりのうた」を見た時からベタ惚れ中なので甘くなっちゃいますが、今回もハンパなく可愛かったっす。あと、先ほど書いた同性愛者や、スパイ云々の描き方は良かったです。そんなに感情的に演出せず、静かに追い詰めていくというか、その点は非常に感心いたしました。

うーん、もう一つ書いておくと、この監督、これが第一作目なのかな?あまりよく知らないんですが、話運びがとても上手で、飽きさせない。まぁ少し演出がダサいとか言いたいこともないわけではないんですが。次に期待。

結果としてやはり期待しすぎたかな?というのが本音でございます。こんなにウダウダ書き連ねてしまいましたが、しっかり作られてるのは間違いないので、シネコンでかかってるこれ以外の映画よりは、オススメです!
ふかい

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