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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のyoshiyaのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

鳥肌が立ちました…。

第二次世界大戦時、ナチス・ドイツが使用していた、解読不可能と言われていた暗号機〈エニグマ〉と、それを解読するために一生を費やした1人のイギリス人、アラン・チューニングの伝記映画、

『イミテーション・ゲーム』。

アスペルガー症候群であったのではないか、と言われているアラン・チューリングですが、確かに、この映画の中では、彼はそのように作られていました。これが事実だったとしたら、本当に生きにくかっただろうなと思います。そして、さらに彼は同性愛者でした。それがどうした、と思われるかもしれませんが、当時のイギリスは、今とは違い、同性愛は犯罪だったのです。酷い話ですよね。そのせいで彼は逮捕され、女性ホルモンの注射の投与を強制され、仕事を剥奪され、そして、最後には…

彼が自殺しなければいけない理由なんてなにもないのに、誰も彼を殺す権利なんて持ってないのに、彼が逮捕される理由なんてなにもないのに、誰も彼を逮捕することのできる権利なんて持ってないのに、彼が仕事を剥奪される理由なんてなにもないのに、誰も彼から仕事を奪う権利なんて持ってないのに、彼は真違ったことをしていないのに、彼は悪くないのに、イギリスは、彼の実績を、彼の人生を、彼そのものを、抹消してしまったのです。

観ていて高揚するシーンもあれば、心が痛くなるシーンもありました。彼の人生、決してこの映画だけで説明のできるようなものではないでしょう。だけど、彼が如何に苦しい人生を歩んだのか、如何に素晴らしい功績を残したのか、如何に孤独であったのか、それらはこの映画でしかアラン・チューリングを知らない僕にも強く伝わってきました。うまく言えないけれど、『シンドラーのリスト』とは違う意味で、また、この映画も「観るべき映画」である、と、そう思いました。













クリストファー・・・

機械に向かってそう囁く彼の姿を思い出すと、今でも涙が出そうになります。
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