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バンクーバーの朝日のプライのレビュー・感想・評価

バンクーバーの朝日(2014年製作の映画)
3.7
1900年代の戦前。カナダに在留する日系労働者たちが結成した野球チーム「バンクーバー朝日」を中心に、日本とカナダの民族間における溝の変遷を描いた実話ベースのヒューマン・ドラマ。

素朴で地味な絵面ばかりが続くが、十分に良い作品。目の前の仕事をこなして賃金を貰うばかりの生活への悪態を繰り返したところで何も地位は向上しないことを表現している。仕事は各職場や各人種によって労働条件がバラバラであり、雇用主の采配で好条件にもなればクソな条件にもなる。平等の担保があまりにも存在しない。それ故、理想の生活との距離を縮めることは不可能。だが、スポーツとなれば別。人種に左右されない共通のルールが存在する。その為、「同じ条件下で自分たちを示そう!」と力を合わせて地位の向上に努めた「バンクーバー朝日」の選択は正解だったと考える。労働条件は平等にシフト出来ないが、野球のルールは常に平等である。いつどこで誰がやろうとも変わらないものをスタート地点にして地位の向上を目指すのは健全であり、他人から認められる最短で最適解のルートだと考える。

野球のシーンが少ないため、野球経験者である亀梨和也さんや上地雄輔さんを起用したことで、少ないながらもメリハリある試合になっている。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計14個
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