Kumonohate

砂漠の流れ者のKumonohateのレビュー・感想・評価

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)
4.0
ペキンパー監督自らベスト・ワークと称する異色西部劇。砂漠で裏切られ死にかけた主人公が偶然にも湧き水を発見、そこに馬車の駅を作る。仲間も彼女も出来る。だが、復讐のため砂漠を離れようとしない主人公を置いて、彼らは都会へと去ってゆく。すでに世の中は自動車の時代に移り変わろうとしていた。そんなある日、自分を砂漠に置き去りにした裏切り者が、駅馬車に乗って現れる⋯。

シリアスなシーンもあるが、基本的にはコメディ。プラス、時代に取り残される者の姿が、ペーソス豊かに描かれる。すなわち、まずは、そうした“時代遅れの主人公”に向けられた、監督の愛ある視線を感じる。だが、その一方で、「西部劇」というものに対する視線も感じる。“時代遅れのジャンル”に向けられた愛ある視線。この2つの“時代遅れ”に対する視線が、本作をユニークかつ名作たらしめているように思う。
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