あーさん

シネマ歌舞伎 春興鏡獅子のあーさんのレビュー・感想・評価

シネマ歌舞伎 春興鏡獅子(2013年製作の映画)
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シネマ歌舞伎 2022 第9弾

邦画で重いの三連発はキツかった。やっぱり、基本は楽しいのが観たい!

こちら、観てからしばらく経ってしまったので、何とか記憶を掘り起こして箸休めレビュー♪

白状すると、、前半殆ど船漕いでました。🚣‍♀️
だから、踊りはダメなのよ…。
セリフがないのは、ホントに寝ちゃう。小姓の弥生の踊りがどんどん遠くに〜

勘三郎さんの女方は前にも観たことあるけれど、美しいというよりも仕草や見せ方が繊細だな〜という印象。今作では、とにかくお着物が素敵!こんな色使い、ええなぁ〜とうっとり。帯もよろしいわ ♪

そこから一転、後半の獅子の精の勇ましさ、カッコよさ。見応え、ありあり!これは寝てられへん。
まだあどけない胡蝶の精役の千之助さん(仁左様の孫)と玉太郎さんが、可愛らしいのにしっかり演技されてるのはさすが(2009年上演の作品だから、13年前。お二人とも立派になられて…)。

弥生が取り憑かれた雄々しい獅子の精を演じる勘三郎さんは成る程、納得の貫禄。心が震える演技、とはこの事!毛振りが凄まじくて、ドキドキする。やっぱり、この方は立役が映えるな。お正月に観たら、縁起が良くてよりテンション上がりそう!

演目が短いので、最初に勘三郎さんの功績をダイジェストで観られたのがまた良かった。

いやぁ、ええもん観せてもらいました。

来週は、いよいよ市川團十郎襲名披露公演に参戦!(→大ファンの玉三郎さん、七之助さん、鎌倉殿で大好きになった坂東彌十郎さん他目当て♪)



**こぼれ話
→歌舞伎に興味がある方だけお付き合い下さい!

歌舞伎座デビューのこと
去る9月、遂に秀山祭九月大歌舞伎(昨年、惜しくも亡くなられた中村吉右衛門さんの追悼公演でもあった)を観に行って来た。
明治座はあるのだけれど、歌舞伎座に足を踏み入れるのはこれが初めて。おひとりさまで少々緊張したけれど、夏に京都の南座に行ったので何となく勝手はわかっていて助かった。
京都に比べると、規模も大きくて近代的な建物に驚くも、中に入るとやはりしつらえ等はそこまで変わらず、折角なので始まる前に飾ってある絵画等を一階から順に、じっくり見て回る。緞帳がとても素敵で、思わずプロフ画にしてしまった♪
客席に入る前の所に吉右衛門さんの遺影があり、もういらっしゃらないんだなぁ…としんみり😥

さて、肝心要の演目は…
"仮名手本忠臣蔵" 祇園一力茶屋の場
忠臣蔵はあまり詳しくないのだが、大好きな片岡仁左衛門さんが大星由良之助役で出られるので、前からとても楽しみにしていたお芝居♪
そんなに良い席ではないからオペラグラス越しだけれど、うーん、遠くても色気が凄い!いやいや、これは眼福もので御座いました。
遊女おかる(中村雀右衛門)が鏡を使って手紙を盗み読むくだりなんて、いかにも歌舞伎らしい演出!なかなか面白かった。
海老蔵(この名前では最後のお芝居)の演技を観るのは初めてだったけれど、声が小さく篭っていて少々聞き取りにくい。弁慶みたいな派手な役は映えるけど、足軽の寺岡平右衛門役が敵役ではなかったのか?仁左様や雀右衛門さんとのやりとりもしっくりくる感じではなく今ひとつ、、ちょっと残念だった。(演技のバリエーションと滑舌、声量が欲しい所!)團十郎襲名披露公演では期待したい。

二つ目は、
昇龍哀別瀬戸内 "藤戸"
こちらは、吉右衛門さんの平和への思いがいっぱい詰まった演目。世阿弥の能の謡曲"藤戸"(佐々木盛綱の軍功を記した平家物語より)を取り上げた、新作歌舞伎舞踊。戦によって息子を失った母の悲しみが描かれる。
老母藤浪と亡き漁夫の悪龍を見事に演じ分けた尾上菊之助さんが、本当に素晴らしかった。こんなに凄い役者さんに成長されていたとは!花道に降り立った菊之助さんの佇まいがものすごい事になってた〜
佐々木盛綱を演じた中村又五郎さんの存在感と共に、心に残るお芝居だった。
戦の後に残る虚しさ…というのは、現代にも通じるものがあり、胸に迫る。

重厚な作品を生で観せてもらって、初歌舞伎座は大満足だった!!

ブラボー❗️
あーさん

あーさん