にゃんこむ

シャイニングのにゃんこむのレビュー・感想・評価

シャイニング(1997年製作の映画)
3.0
原作者がスタンリー・キューブリック版の『シャイニング』がこんなの『シャイニング』じゃないやい!と嫌っていたのは有名な話のようですが、その原作者が指揮をとり、正式な『シャイニング』を作ったドラマ版がある事はご存知でしょうか。

ちなみに私は知りませんでした。
TSUTAYAのDVDコーナーで映画版の『シャイニング』を借りようとしてたまたま手に取ったのがドラマ版で、その総時間を見てびっくりして調べて、そういう作品があるのだと、たまたま知りました。
ドラマのコーナーではなく、映画のコーナーにありましたし、背表紙には『シャイニング』しか書いてないので間違って借りちゃう人いるんじゃないかなぁ……。

4時間半にも及ぶドラマ版の感想ですが、
「作者が描きたかった物語や、パパの過去、物語の結末など、やりたいことはよーくわかった。けれど、それと映像作品としての面白さは別だよね」と思いました。

ジャック・ニコルソン版のパパは、元々支配的で暴力的な面を持ち合わせているように思えましたが、今作のパパはアルコール依存症の既往歴があり、お酒絶ちをしていること以外は平凡な人間です。
ラストも、映画版の悲惨さと比べるとややハッピー寄り。
料理長とのエピソードや、パパの家族への思いなど、映画版はバッサリ切り捨てていますが、今作はとても丁寧に描かれています。
そもそも、時間が倍近く違うんですけどね……。

でも、今作の一番の問題点は、
ラスト1時間半くらいしか見せ場がない事。
レンタルしたDVDは3枚組(両面1枚、片面1枚のディスク3枚分)なのですが、2枚目を見終わっても見せ場らしい見せ場はなく、ずーっとホテルの過去や家族の過去など状況説明ばかり。つまり退屈。
ようやくラストのディスクで話が展開し、パパがホテルにとりこまれ狂っていくのですが、そこまでが長すぎます。

『ペット・セメタリー』を見た時も『スティーヴン・キング』ってやたらと死者に語らせたがるなぁと思いましたが、それが良い方向に行っていない気がします。
語らせすぎてあんまり怖くない。ぺちゃくちゃ喋る幽霊ってあんまり怖くないですよね?貞子みたいに黙っている方がよほど怖い。
あと、庭の植木が動くところなんかは、チープというか、バカバカしいというか……映画版は効果的な恐怖モチーフを使う事に長けていましたがその逆だと思いました。
だって、庭の植木が動いたところで怖くないですもん……。

けれど、家族ドラマを見たいなら圧倒的に今作がオススメです。
怖い映画を期待して見たり、映画版が好きな方はちょっと物足りないかも。
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