いかすみ

きっと、星のせいじゃない。のいかすみのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます


自分の語彙力じゃとても語れない。
鑑賞中より、なぜか鑑賞後、エンドロールを眺めながら、涙がボロボロ出てきた。

所々難しくて理解できなかった場面もあったけど、印象に残ってるシーンと感想↓

■ガスの生前葬。ヘイゼルの弔辞。
「0と1の間には無限に数字がある。
0.1 0.12 0.112無限に続く。
0と2の間にはもっと大きな無限がある。
0と100万の間ならもっと。
与えられた以上の数を、私は手に入れたい。

ガスにももちろんもっと長く生きてほしい。
でもね、大好きなガス、私はすごく感謝してるよ。
小さな無限に。

あなたは永遠をくれた。
限られた日々の中に。
そのことを私は永遠に感謝します。」

この無限は、時間や人の想いを表しているのかと思った。
1日。1年。流れる時間はみんな同じ。
でも、同じ時間の中にも無限は存在する。
ヘイゼルは、ヘイゼルだからこそ、小さな無限に感謝できるんだと思った。
父親が作ってくれたブランコを見てどうしようもなく悲しくなったり、普通に考えると「ふざけてる」とも捉えられる大好きな小説家の突然の問答を自分の中で昇華させたりするヘイゼルだからこそ。

でもそんなヘイゼルになれたのは、ガスと会えてから。
だからこそガスは、ヘイゼルの中の小さな無限になって、限られた日々の中に永遠を与えたんだろうな、と感じた。

■主人公の死という突然の小説の終わりに対してはあんなに好意的だったのに、なんで小説に続きがないこと(彼女の死後の周りの人達の物語)にあんなに怒ったのか。両親が社会福祉士の勉強をしているのことに対し、なんであんなに喜んだのか。初見は不思議だった。でも、最後の父親とのシーンでなんとなく理解できた。

ーとても残念だ…。
 でも、よかったろ?
 彼を愛せて
 我々もそう思うんだろうな

大切な人を失うのは、とても辛いこと。
それは当然。
ヘイゼルも自分自身がいつかいなくなることはわかっている。
だからこそ、自分がいなくなった後の周りの人たちのことが気になった。
自分自身を「爆弾」だと、出来るだけ被害は最小限にしたいと言っていた。
だからこそ、両親が自分を愛してくれて、かつ自分との思い出を胸に、社会福祉士という未来を生きる選択をしてくれたのがすごく嬉しかったのかな。
自分は見ることができない、自分がいなくなった後の周りの人達の様子が知れたから。

■ガスの告白のシーン。悲しませたくないから、友達のままでいたいと言ったヘイゼルに愛を宣言するシーン。
「君を愛してる。聞こえた?
君を愛してる。愛なんて虚しいしいつかは忘れられる。人はみんな死に絶えて…
人類の努力がすべて土に帰るのもわかってる。いずれ地球が太陽に呑まれるのも承知で…君を愛してる。…悪いけど。」

ガスって、物語の中でずっと明るくて、
死のメタファーと言って火をつけないタバコを咥えたり、アムステルダムの旅を豪華にプロデュースしたり、すごくキラキラした青年に見えた。
でも、家にはバスケのトロフィーがたくさん飾ってあって、数年前までスポーツマンだったのに、病気が原因で足を切断する決断をしていたり。
画面上では映されてないけど、しんどい、辛い、もう生きていけないとと思うような日々もあったんだろうな。(語彙力が無さすぎて適切な表現ができない)

そんな"弱い"ガスをはじめて感じたのが、ガソリンスタンドにヘイゼルを呼び出したシーン。親にも知られたくない、救急車も呼ばれたくない。普段の余裕のあるガスとはかけ離れた姿。
弱っている自分をはじめて、唯一見せられたのが、ヘイゼルだったんだろうな…。
いかすみ

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