風の旅人

きっと、星のせいじゃない。の風の旅人のレビュー・感想・評価

3.5
甲状腺癌を患い、それが肺まで転移したヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)は、外出もせず内にこもっていた。
そんな折、母親(ローラ・ダーン)の勧めで参加した癌患者の集会で、ヘイゼルは骨肉腫で片足をなくしたオーガスタス(アンセル・エルゴート)と出逢う。
たちまち恋に落ちた二人は、お互いが好きな本について語り合う。
ヘイゼルはピーター・ヴァン・ホーテン(ウィレム・デフォー)の『大いなる痛み』の愛読者だった。
それを知ったオーガスタスは、作家が住むアムステルダムに旅行する計画を立てる。

難病ものでありながら、お涙頂戴に陥ることなく、紋切り型の物語から逸脱していることに好感を持った。
アムステルダムに降り立った瞬間に、Charli XCXの「Boom Clap」が流れたときには、お決まりの展開を予想したが、ヘイゼルの憧れの作家が嫌な奴で安心した。
人生そんなに甘くない。
ヴァン・ホーテンが語る「無限の大小」や「トロッコ問題」など、ちょっと捻った小話がアクセントになっていた。
ヘイゼルとオーガスタスが一緒に過ごした時間は短いけれど、それは0と1の間に無限の数字があるように、「永遠」と感じられる時間だった。
そしてそれはお互いにとって、後悔のない選択だった。
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