すずき

Mr.タスクのすずきのレビュー・感想・評価

Mr.タスク(2014年製作の映画)
3.7
下品で悪趣味な笑いのネタを提供する事で人気の、ポッドキャスト配信者のウォレス。
彼は相方テディと恋人のアリーを残して、単身カナダに取材旅行に行くが、ネタは空振り。
しかし酒場で偶然見つけた、老人ハワードの出した貸し部屋の広告を見て、彼に興味をそそられる。
彼はかつて船乗りで、数々の冒険譚が自慢の老人だった。
ネタを見つける為、人里離れたハワード老人の邸宅を訪ねるウォレス。
だが、そこに待つのは想像を絶する恐怖だった…

「クラークス」「チェイシング・エイミー」のケヴィン・スミス監督によるホラー映画。
邸宅に監禁され、外科手術によって怪物に変えられてしまう系ホラー。「ムカデ人間」とか。
しかし、会話劇を主体に進行し、ブラックな笑いを要所に仕込む本作は結構ジャンルレスかも。

Filmarksの平均スコアは低いけど、結構良作かと思うのだ。
純粋なホラーとしてはアレかもしれないけど、コーエン兄弟的な会話劇が面白く、一見無関係な話題でも、作品全体のテーマの伏線になってたりするのが上手い。
見せ方もケヴィン・スミス監督の、ベテランのこなれ感があって悪くない。
ジョニー・デップがアクの強いキャラを演じてるのも笑える。
そういった、ホラー映画としてのメインじゃない、脇道部分を楽しめるかで評価は分かれそうだ。
ケヴィン・スミス監督、「チェイシング・エイミー」の時も思ったけど、コメディ以外を撮ってる時の方が才能を感じる…。

さて、本作のクリーチャーである人造セイウチ人間Mr.タスク。
グロテスクだが、安っぽいキモカワ感が「バスケットケース」を彷彿とさせる。
そしてそれを作り出したハワードは完全にイカれてるし、彼が本懐を遂げるクライマックスはビジュアル的にバカバカし過ぎる!
最早何の映画を見せられてるのか分からない映像に困惑必至。

しかしイカレ老人ハワード、劇中語られる彼の過去を考えると、その目的に理屈は通ってるのよな。
だったら本物のセイウチに会いに行けよ、というツッコミは無しの方向でお願いします!