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アクトレス 女たちの舞台のrosechocolatのレビュー・感想・評価

アクトレス 女たちの舞台(2014年製作の映画)
4.4
若さの渦中にいる時は誰もその恐るべきパワーに気がつかない。その若さが、自身より老いたもの、すなわち自分より力が弱いものに対して放つ無意識の残酷さに。

経験や技巧を必死に味方につけてきた、あらゆる円熟を粉々にするだけの力を、若者は無邪気に振り回す。その様は、もしかして故意にやっているのではないか、悪意が裏にあるのではないかと訝りたくなる程の光を放っている。そうすることで、時の人は望まずして台頭してきたと思っていても、自分もまたその道を辿っていたことをベテランは見事に忘れる。作為的か、無作為かは問わないが。

役の解釈と演じ方がピタリと重なる時、自分が他者に向けてきた無意識の刃がそのまま跳ね返ることにやっと気がつくマリア。その刃を受け止めることが女優という職業の宿命なのだろう。自分の頭を踏みつける如く振る舞う若手、それは己の辿ってきた姿であることを。

でもこれは実は女優に限らない話。女であることに拘ることを死ぬまで止めないのが、女である。
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