デニロ

ジミー、野を駆ける伝説のデニロのレビュー・感想・評価

ジミー、野を駆ける伝説(2014年製作の映画)
3.5
ケン・ローチの作品は緑が綺麗だ。

ジミー・グラルトンというアイルランドの活動家の話。一体何をした人なのかはよく分からない。国を追われるほどのことをしたのかどうか。

本作品の中では、自分の住む村にホールを作りダンスパーティや読書会を開催したり、ボクシングの練習場にしたりする。そのうちにジミーは影響力を持ってしまい権力から疎んぜられる。とりわけ教会権力は、教育は教会が行うものであるとし、教会の秩序からはみ出たジミー排除のフロントになっている。
アメリカに逃れ幾年かの生活を経て、舞い戻る。そこで若者たちから伝説のホールの再興を歎願される。すぐにそれに乗ってしまうお調子者でもある。そして同じことを繰り返す羽目になり、再び追われアメリカへの強制送還。

市井の活動家に焦点を当てるケン・ローチ作品の真骨頂である。何かをしたというほどのことでもないように思われるが、こうした人物が歴史を支えている。ケン・ローチは痒い所に手が届くような材料を探し出してくる。中期から後期の司馬遼太郎にみられる名前のある人物に焦点を当てる視点とは違う。

邦題。『ジミーズ・ホール』でよかったんじゃないか?
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