ハレルヤ

ジミー、野を駆ける伝説のハレルヤのレビュー・感想・評価

ジミー、野を駆ける伝説(2014年製作の映画)
3.7
国内内戦が終わって10年が経過した1930年代のアイルランド。アメリカから帰ってきたジミー・グラルトンは地元の町で穏やかに過ごすつもりだったが、閉鎖された集会所の再開を熱望されて情熱を取り戻す。しかし保守的な神父や抵抗勢力に妨害され、自由を求める活動を起こす実話を基にしたヒューマンドラマ。

イギリスの名匠ケン・ローチが描く激動の時代を経た後のアイルランド。落ち着いたように見える世の中でも権力争いや危険分子を排除しようとする動きは絶えない。実在した活動家ジミー・グラルトンの姿を通じて、当時のアイルランドの様子が伺えます。

自由を求める人々の願いを形にしようと奮闘するジミー。当然嫌がらせや身の危険を感じるような事が起こるも、暴力を使わずに人々に訴えかけて抵抗する。

村社会における集会所の存在は、村人の団結を高める場所にもなり、それを脅威と捉える権力者たち。だからこそ排除しようと躍起になる。そういった構図も劇中からよく分かります。

有名なキャストに頼らないキャスティング。余計な演出をせずにリアリティを追求した作風。ケン・ローチ監督作品の真髄は本作でも貫かれていました。

現実を突きつける結末が多い彼の作品ですが、本作もそうなるかと思いきや、ラストシーンの清々しさは驚き。完璧なハッピーエンドとは言えないけど、ジミーの事をどれだけの人が愛しているか、それを実感したラストでした。
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