三鷹

ジミー、野を駆ける伝説の三鷹のネタバレレビュー・内容・結末

ジミー、野を駆ける伝説(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

世界中で好きな国、と聞かれたら何ヶ国かのうちアイルランドは必ず入るくらい好きな国だ。その割には歴史的にはまだまだ不勉強で、彼の事も知らなかった。
1930年代のアイルランド。イギリスからの独立、宗教による圧政、共産主義に対する憎悪などが混沌とし激しい内乱ののち国外追放されていた元活動家のジミー・グラルトンを描く。
今のアイルランドがこれまでどれだけの人民の『戦い』の上に成り立ってきたのか、この映画を見ているだけでその欠片を感じ取ることができる気がした。

ジミー・グラルトンは映画を見る限りとても魅力的で、祖国に戻ってきた彼が何をし始めるわけでもないうちから人々が周りに集まり始め、彼に某かの期待を寄せ始める。
『人望』はこういうものなのだろう、自ら己の過去やキャリアを口にすることの浅ましさは彼には微塵もない。
2度目の国外追放をされる前にジミーが地域の人々の為に建てたホール(集会所)を社会の監視下に置かれている人々の為に再建させる。
人間として人生を楽しむための自由を享受出来るそのホールでのダンスや音楽はまた、保守的な教会をはじめとする支配階級層から危険な共産主義思想と捉えられ弾圧の対象となっていき、再びジミーは拘束されていく。

ラストのシーンで警察に再び連行されていくジミーを村の若者たちが追う。
そのシーンを見て今すぐにではない、しかし次第にこの国も変わっていけるのだろうとほんの少し希望を見ることができる。
決して絶望的なラストではないことが私にとって救いだった。
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