ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンの自伝的映画。
統合失調症の妄想や幻聴などのシーンはやたらとリアルにドラッギーに描かれている。
冒頭のシーンで兄弟の死が忘れられないと述べているにも関わらず、兄弟との深い絆は積極的には描かれていない。
本来であれば彼の兄弟は虐待という経験を共有した唯一無二の彼の理解者であり、誰にも代え難い存在であったはずである。
また、実際に兄弟二人とも既に不幸な死に方をしており、彼の心に与えたインパクトも相当のものがあったことが推察される。
しかしそういったことは描かれず、精神科医からの虐待と現在の奥さまとの恋愛が冗長なほど描かれるのはいささかげんなりした。
したたかな奥さまをもらったことは、夢見がちなブライアンにはよかったことなのだろう。
ビーチボーイズの曲やライブ映像については文句なくよかった。
曲の制作過程が垣間見えるのも楽しく、ブライアンが天才の一人であることは疑いようがない。
ビーチボーイズの曲が好きな人は、見て損のない作品と言える。