「もうすぐ死にそうなじいさんと接してるとさ、この人は私の知らない世界を生きてきたんだなって思う。私は戦争を知らないし。
でも今日生まれる子供も、明日死ぬじいさんも、みんな同じ世界で生きてるんだよ。見えない距離を少しづつ歩み寄ってさ。心で解ることってあるんだね。」
このサワちゃんの台詞がすごく好きで印象深い。
トラブルに巻き込まれてホームレス状態に追い込まれたサワちゃんがくじけずに、フラットに人と接してつながり、生き抜く姿が最高にかっこいい。まさにニューヒーロー。
孤独や焦燥や様々な問題を抱えて
心を閉ざして生きてている老人たちの心の隙間に、遠慮なしに手を突っ込んでこじあけ、全力でぶつかり、おじいさん達と人間らしい心の交流を生み、おじいさんも彼女に導かれるように生命力を蘇らせていく姿がとても美しくて微笑ましくて。
街ですれ違う他人にもそれぞれの人生があり、生きた時代によるボーダーや若者・老人といったカテゴリを取っ払って人を見て接することの大切さ。私たちよりずっと長く生きてきた高齢者へのリスペクトの大切さ。
希薄になりがちな人間関係の中にも目に見えない心の距離感をもって影響しあい、誰しもがどこかで繋がっていることを再認識させられる。
そしてラストは想像もしなかった終わり方。本当に素晴らしかったです。海面がキラキラ輝く様が人生や生命本来の力強い輝きに見えて。
※マスコミ試写会で鑑賞
