ランボーでありたい

バクマン。のランボーでありたいのネタバレレビュー・内容・結末

バクマン。(2015年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

原作未読・アニメも未見の状態で鑑賞
週刊少年ジャンプで連載されていたコミック”バクマン。”の実写化
佐藤健・神木隆之介W主演。監督は人気ドラマシリーズ「モテキ」の大根仁

どこでも手に入るレベルの原作漫画を全く読まずに、映画の内容に文句いうのも少々不安ではありますが。(あるのは大まかなあらすじと小畑と大場原作者両名の関係とかのうっすーい知識のみ)『そこは原作でもそうなんだけど。』とか言われても知らぬ存ぜぬを決め込むつもりです。

・佐藤健について
三枚目キャラは良かった。イケメンだけど間抜けそうな感じの役は彼にあってる。電王の時もるろ剣の時もこの感じだった。好感を持って見れた。

・神木隆之介演じる高木秋人というキャラについて
見せ場がたいしてない。W主演と言われているようだが今作では完全にサブキャラ。終盤まで名前すらよくわからなかったし。醸し出す雰囲気は抜群に良かっただけにもったいない。おそらく原作では彼の出す絵コンテ案やストーリーなどを詳しく描いているのだろうと思うけど映画にはその辺全然なかったなぁ。佐藤健と神木隆之介の見せ場のバランスがいびつ。

・小松菜奈演じる亜豆美帆というキャラについて
この子が出るシーンだけ紗のかかったような画作りで工夫してる風味だがはっきり言ってあざとい。でもまぁかわいかったですけどね。小松菜奈自身が持ってる独特の雰囲気だけで十分だと思いました。あんな女の子ぼくの周りにはいませんでした。いいなー羨ましいなー。
というかあの二人付き合ってたの?そんな演出してないじゃん。唐突に別れ話始まって混乱しました。ただ両思いの二人だと思って見てたのでびっくりです。
それに『恋愛は事務所NGなんでサーセン』って言われて退場されてもなんかが納得いかんぞ・・。なんだそれ!!
本来は最高が漫画家を目指すという目標の上で重要な動機の一角のキャラじゃないんですかねー??どうなんだろう。なんかこのキャラについてもあっさりしすぎ。

・染谷将太演じる新妻エイジ(天才)について
漫画描きの天才を映画内で表現する事の難しさがこっちにもひしひしと伝わってくる。なにが出来たら天才なのか?どう見せれば天才に見えるのかかなり苦労したんでしょうね。
変人・狂人の類には見えたが、どう天才なのかが全く見えてこない。『あいつは天才だから』って口々に言われてもねー。いまいちピンとこないっす。

<平面の視覚媒体である漫画をいかに映画的に見せるかについて>
プロジェクションマッピングを使って作品がどんどん出来上がっていく過程を見せる件は『お金ないなりのやり方がある』というおもしろい発想でいいと思います。カリカリ絵だけ描いてるだけの画面は地味になるってのは想像できるがこの考えに行くとは。大根仁洒落たこと考えますね。主人公2人と新妻エイジの脳内架空バトルは「スコットピルグリム」的というかなんというか、墨の感じは”牙狼GARO”のオープニング見てるみたいだった。ぶっちゃけパクってるだろこれ。

<神々の戦いであるという事>
漫画をさほど読まない自分にも漫画家の世界は相当厳しいと想像できる。ましてや天下の週刊少年ジャンプ。連載を持つのはもちろんのこと読み切りとして掲載されるのも新人賞をとる事だって大変な快挙だろう。この「バクマン。」に登場するメインキャラはその高い高いハードルを越えたものたちの悲喜こもごも。
その他の”このステージに行きたくてもいけないもの達”のおいてけぼり感がなんともすごい。
なんだか神々の戦いの首位争いをみせられた気分。
凡人は蚊帳の外ですか。なんか夢見させるだけ見させて暗部は隠すみたいな作りで意地悪だなぁ。
僕が読んでいた頃のジャンプって”底辺から這い上がって高みを目指す”みたいな泥臭いイメージはまだ生きてたけど最近はどうやら違う見たい。この主人公二人弱点はあるにせよ始めからかなり優秀なキャラだよね?周りの奴らに負け犬風味の奴とかいるけど、アイツだって十分優秀。
個人的に神々に対して感情移入できなかったのでメインのストーリーよりサブの”読者にははかり知れない業界の裏側”を知るみたいな楽しみ方しかできなかったなぁ。十分楽しんでるか・・。

<映画内漫画(”CROW”や"この世は金と知恵"等)の本当の出来の良し悪しを我々原作未読の観客には計り知る事しか出来ないということ>
漫画がどんなあらすじか絵はこんな感じ程度にしか示されない。これらの漫画は読者アンケートの順位結果という物語の盛り上がりに直結するわけだしもっと見せて欲しかった。
"CROW"も新妻エイジの天才性が示せる要素になりえるのに内容すらわからない。
この辺も映画化するにあたって悩んだ所だったと思います。これが限界だったんかな。
多分原作コミックの方はちゃんと”漫画内漫画”を掲載してるのではないでしょうか?それもきっと「バクマン。」が面白いといわれている要素なんだと推測。

<なぜアンケート1位を取れたかについて>
その回がどうおもしろかったから1位取れたのかがさっぱり。単純に仲間の手助けと気合と根性で取ったとしか見えない。これをジャンプ漫画らしいと言ったらそれまでだけど。

<OPの少年ジャンプ快挙尽くしの歴史説明について>
この映画で唯一盛り上がった。自分も『読者として記録の一部になっていたのだなぁ』と感慨深かったです。

<ED周りについて>
一時の夢のような時間だったというあっさりとした終わり方も結構好きだし、劇中の二人の漫画の最終回の一コマも青臭いけど好きです。
『巻頭カラーもやったし、アンケートトップも取れた。単行本も出た。高校生にしては俺たちやっぱりスゲーじゃん!!』って所とか己の偉業を己で褒めて締めくくり自己完結するあたりはなんとも現代的で興味深かった。凝ったエンドロールで最後まで飽きさせないようにしたのもいいと思う。クレジットスゲー見づらいけど。

原作からどこを抽出すれば”バクマン。”らしく面白くなるかの選択をミスったんじゃないこれ?
映画は大して面白くなかったけど原作はどうなっているんだろう程度の興味は持てたので結果として良かったんじゃないでしょうか。
個人的に大根仁の作品は前作の『恋の渦』のような下品なクズ路線の方が好きでした。絶対そっち系の方が向いてるよこの人。

なんか見当ハズレなことたくさんいってそうだな・・。無駄に長いしホントすいませんでした。(誤字・脱字は目を瞑って)
黙って原作読もうと思います。

*スラムダンクの「安西先生。バスケが~」のネタはもういいって。コメディシーンでおちゃらけて使っても薄ら寒い。