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あの日の声を探してのメルのレビュー・感想・評価

あの日の声を探して(2014年製作の映画)
4.0
1999年、ロシアに2度目の侵攻をされたチェチェン共和国で。

目の前で両親を殺された少年ハジ、フランスから来たEU職員キャロル、ふとした事から強制的に入隊させられたロシア人青年コーリャ、この3人の目を通して戦場と化したチェチェンでの人々を描いている。

正直、戦争映画は苦手。
特に架空の敵を創り上げ、ナショナリズムを喚起させる様な作り方や、武力を肯定的に描くのも。

しかしこの作品には私達には到底想像し得ない戦争の厳しい現実がある。

特に強制入隊させられたロシア人青年は上官からの暴力、軍隊でのイジメに心が蝕まれ、殺人さえもゲームの様に容易くなる。
完全に人間としての心が狂ってしまっているのだろう。

静かな作品だが、殺し合うことの現実がずっしり重く描かれていて「戦争の無い日々の有り難さ」を感じさせてくれる。

エンディングがオープニングに繋がる構成は目新しくは無いが、効果的だった。

スッピンのアシュレイ・ジャッド、存在感ありました。
キャロル役のベレニス・ベショは「アーティスト」にも出てましたが、監督の奥様なんですね。

製作はフランス、ジョージアとなっているが、ジョージアとは旧グルジアのことで、キリル文字がロシアをイメージさせる事から英語読みのジョージアに変更したそうだ。
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