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サンドラの週末のsnatchのネタバレレビュー・内容・結末

サンドラの週末(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

お笑い映画で休息したところで、また心身に堪えるダルデンヌ兄弟に挑戦してみました。不思議なのが、私はポン・ジュノ作品のような見たこともない展開が繰り広げられる話しが大好きなのですが、その対極にあるダルデンヌ兄弟の作品にも呑まれてしまうこと。
この作品も、うつ病が回復したのに解雇されるサンドラが同僚達を訪ね、彼女を首にしてボーナスを貰うか、それともボーナスは無しで彼女の職場復帰かの投票で、自分に投票して欲しいと、この週末を訪ね歩き回る三日間を淡々と写している。移民社会や高い失業率も見えてくるから、労働者の権利意識の高さも分かるし、また同僚たちの苦しい経済状況も次々と現れる。同じ行動言葉をひたすら繰り返すから、ドゥマン=明日というフランス語を覚えてしまった😅
ですが、真剣に1秒たりともサンドラを見逃さないように観ていく。この世の中で自分が考える正しいことを押し通すって、凄く大変な事です。同僚も皆、何が道義であるかは分かっているが、実際にはそれが実行できないのが現実だと突きつける。彼女もそれを痛いほど分かっており、やはり無理強いはできない。その彼女の持っている優しさの強さに触れたり知っている同僚は、自分の良心を覆っていた鎧を少しずつ剥がしていく。
彼女は決して強くない、最後までずっと涙ばかり流しているし精神的にボロボロ。自分もサンドラだったらどうする、夫のように温かく彼女を最後まで勇気づけられるか、自分が同僚だったらどうすると、観ている間、心の中はずっと動いていた。
最後、自分の良心に従って決意した同僚たちとの抱擁と、サンドラが初めて見せた笑顔、掴んだ自信と誇りにほっとする。彼女は顔を上げて歩いていく。世の中、こういう痛みを分け合う行いが消えてなくならないで欲しい。春から社会の荒波に揉まれていくであろう長男に、色々あろうが人としてのラインは見極めよう、お天道様は見ているからと過保護な母さんは伝えたい🌞
これは希望がくっきりとみえる映画だったので、観賞後倒れ込まずにすみました😌
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