ハレルヤ

雪の轍のハレルヤのレビュー・感想・評価

雪の轍(2014年製作の映画)
3.7
トルコの世界遺産であるカッパドキアでホテルを経営する主人公のアイドゥン。若い妻のニハルと、夫と別れて出戻ってきた妹との関係。そして家を貸している一家との確執など様々な人間模様を描いた物語。

いやーしんどかった。3時間を越える長編。そこで繰り広げられるのは会話劇。面白い内容でもなく、ひたすら嫌な緊張感に満ちたものばかり。舞台劇でも通用しそうな感じです。

それでもこの長い時間をしっかり見せきったのは、この会話劇の内容が普段の生活でも十分有り得るようなものだからでしょう。パルムドールを受賞しているので一筋縄ではないのは、やはり理由がありました。

裕福な人間とそうでない人間。年老いた人間と若い人間。怒りやすい人間と心優しい人間。疑り深い人間と来るもの拒まずな人間。色んな立場の人々がそれぞれの価値観で話しても、相容れない事が積み重なる。それを長い時間をかけてじっくりと表現していました。

なので重たい雰囲気がかなりの時間続きます。片方は良かれと思って言葉を発したり、行動したりしますが、その相手からはそれを余計なお世話と取られてしまったり、逆に怒りを買ってしまう。一般社会でも有りがちな出来事で色々と考えさせられます。

その気まずくて疲れそうになる作風に対して癒しとなるのがカッパドキアの雄大な自然。一度ここに行ってみたいと思わせるその美しい描写には助けられた感がありましたね。ずっと密室での3時間ならもっと疲れていたかも。

スッキリしたような、していないような複雑なラストでしたが何とか見終わって解放感がかなり感じられました。とても何度も見たいような作品ではありませんが、一見の価値なら十分ある作品だと思います。
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