ジジイ

雪の轍のジジイのレビュー・感想・評価

雪の轍(2014年製作の映画)
4.0
記録。2014年カンヌパルムドール。196分の大作だが飽きずに観ることができた。カッパドキアで洞窟ホテルのオーナーとして裕福に暮らす元舞台俳優のアイドゥン。若く美しい妻との関係はうまくいかず、離婚して戻ってきた妹ともぎくしゃくしている。さらに家を貸している一家からは家賃を滞納された挙句に思わぬ恨みを買ってしまう…という物語。チェーホフを下敷きにしてドストエフスキー、シェークスピア、トルストイなどの作品をモチーフに作られているという。中でも無抵抗主義をめぐる長回しの議論は果てしなく続いて笑えた。このように主人公を巡ってさまざまな議論や軋轢が生まれる構成だが、この人物はそこまで人間性が最悪とは思えない。むしろ周りの人間の方が自らの欺瞞に無自覚である分相当タチが悪いように思えた。視点を変えて何度も観たくなる傑作。
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