トルコのカッパドキアで繰り広げられる、複雑で厄介な人たちの鬱屈した会話劇を描く3時間16分。
パルムドーム作品らしい、美しい景観を背景にした、雰囲気含めて高尚な作品だった。上手く言えないけど、人間の良心の裏に隠された偽善や欺瞞を、皮肉たっぷりの会話劇で長時間かけて暴いていく感じ。
この作品内の人たちは、普通なら言わない、言ったら嫌われるような言葉を臆せず吐く。当然どんどん会話はヒートアップする。映画とはいえ、この人たちは多分、どこに行っても幸せになれないだろうなとか思ったりもした。
その上でさらに思ったのは、主人公含め、みんな相容れない独自の倫理観を持っているけど、別にどれが正しくて、どれが間違っているとかではないということ。多分この作品はそういうんじゃなくて、自分の環境や感情に折り合いをつけれない人間たちは、どうやって自分を正当化しようとするのかという話。
長すぎるから気軽に人に勧められはしないけど、色々と人の心理について考えさせられる良い作品でした。