momo

アメリカン・スナイパーのmomoのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
5.0
イラク戦争で活躍した凄腕の狙撃手、クリス・カイルが4度の出兵で次第に心に深い傷を負っていく過程を描いた戦争映画。

とにかく観終わってからの余韻が半端ない。
攻撃する側の視点から戦争を描いてその人間性にも迫るという描写に惹き付けられた。

戦果を上げるとともにカイルの心が蝕まれていく姿、PTSDを患って平常心を失う姿を見て胸が張り裂けそうになるし、戦争は "犠牲者が可哀想" だけでは終わらず、誰しもの人生を翻弄する恐ろしいものなんだと身に沁みて痛感する。

途中子供に対する残虐描写に思わず目を塞いでしまったけど、そういうリアルなシーンで感情を揺さぶられることこそ戦争映画の醍醐味なのかもしれない。
カイルに感情移入しすぎてラストの衝撃は本当に打ちのめされたし放心状態にならざるを得なかった。

なによりカイル役に抜擢されたブラッドリーの演技が圧巻。
カイルに似せるために18キロも増やし、毎日5時間×2ヶ月半テキサス訛りを練習し、銃撃のトレーニングで実弾を使ったんだとか。
もう役作りの天才としか言いようがない。

この役はブラッドリーにしか演じられない、ブラッドリーのためにある役だと思う。
この作品でブラッドリーの実力が本領発揮されたと言っても過言ではないし、ますます好きになれた。

戦争問題がこの世を絶たない限りこういう映画を観ることの必要性は永遠に存在し続ける。
余韻に浸り、考えさせられ、自分の価値観と今の世界を見直す…そんなきっかけを与えてくれる映画に出会えることが嬉しいし、だからこそ戦争映画は避けてはいけないジャンルだと心から感じた。
momo

momo