クリント・イーストウッド監督。実話に基づいているらしい。人間には3種類いる。羊と狼と番犬だ。お前たちは番犬になれ。そんな父に育てられ、主人公の愛国心とマッチョ性はより潔癖なものとなっていく。そして９.11。志願して過酷な訓練ののちスナイパーとなりイラクに四度派遣。味方を狙う敵をその寸前で射殺することで大勢の合衆国兵士を救う。「伝説」と呼ばれるまでに多大な戦果をあげる（=多くの相手を射殺する）が、心は次第に蝕まれていく…。
「アメリカン・スナイパー」というタイトルは、アメリカンじゃないスナイパーもいるということが前提だ。番犬のつもりだったのがいつしかただの狼になって、相手側の狼も番犬も羊も次々と射殺していく。アメリカの正義とは、愛国心とは何なのか。イーストウッドはアメリカの抱える問題にかつてなくストレートに迫っている。
