パン

だれのものでもないチェレのパンのレビュー・感想・評価

だれのものでもないチェレ(1976年製作の映画)
3.6
鬱映画を沢山観てるけど苦手なタイプの鬱映画だった。
やっぱ子供とか動物はきついよな…

物語はホルティ・ミクローシュ政権下のハンガリーが舞台。
この独裁政権によりハンガリーでは貧困が蔓延し孤児も大量に発生した。
そしてこの孤児を引き取ると国から金が貰えるので、金のために孤児を引き取って奴隷のようにこき使ったり虐待するというケースが相次ぐ…
馬鹿な政治家の馬鹿な政策の末路と言えるだろう。
この映画の主人公、チェレもそんな時代の犠牲者の一人だ。

冒頭から一人だけ素っ裸で可哀想なチェレ。
残酷なまでに美しい地平線。
偽仏の親に虐待される日々。

辛くて脱走してもまた似たような大人の犠牲になる。
いつの時代も子供は無力で不自由だ。

やっぱ俺はひたすらずっと不幸を映すタイプの映画って苦手なんだよな。
同じ鬱映画でも鑑定士と顔のない依頼人みたいに幸せな時間もあるような映画が好き。

この映画はずっと辛かった。
でもあの老人は優しかったな…この映画の数少ない良心。
パン

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