のすけ

フレンチアルプスで起きたことののすけのレビュー・感想・評価

3.7
フレンチアルプスで家族4人でスキー旅行!最高の思い出になるはずだったのだが…

屋外テラスで雪の斜面を眺めながら最高のロケーションでランチ。しかしそこに雪崩が発生。最初は「大丈夫」と笑っていたが勢いを増し使ってくる雪崩!皆パニック!子供は「パパ!」と泣き叫ぶ!
そしてパパは咄嗟に携帯持って逃げる!…

雪崩は幸い被害なく済んだが、家族には大きな大きな溝が…

いやーおもしろい。この独特のセンスよ。
やっぱ変わってんなーこの監督さん(褒めている)人間の嫌なところを見せてきますね。

夫に対し「逃げるなよー子供と奥さん守れよー」とか思いながらも、人間いざその窮地に立たされたら咄嗟にどんな行動取るか分からないかもな…とか思ったりしつつ、「でもとりあえず認めて謝れよ」と思いつつも、でも自分だったら100%認めて本当に謝れるか?とか自問自答し「ん〜…」と眉間にシワ寄せたりして…ほんと困るわこういう題材。

奥さんにも旦那にも理想の夫像があったんだろうね。なんとか演じてきて、ちょっとした問題があっても時に目を瞑ったりしてきたけど、緊急時の本性を垣間見て信頼ガタ落ち。無かったことにできない奥さんの気持ちも分かる…

一瞬の出来事で…たった一つの言動で崩れる関係性。あるよねー人間同士って…何十年連れ添ってきた夫婦や友人であっても、その一言、その一つの行動ですべてが終わるときって…
これまで何十年積み重ねた真実と互いの信頼を取るのか、その一瞬の本性から出た言動(本性かどうかは実際は分からないが)を取るのか…
許したくても許せない。分かっているけど受け入れられない。そんな最後を迎えた人達はこの世にどれだけいるだろうか。

この答えの無い、むず痒い問題を映画にしちゃったリューベン・オストルンド。天晴。