jonajona

フレンチアルプスで起きたことのjonajonaのレビュー・感想・評価

4.5
スキー旅行に出かけた
子供2人と仲良し夫婦の4人家族。
アルプスの雪山に面したコテージで優雅に朝食をとっている時に遭遇した雪崩れ事故での旦那のある行動を機に、夫婦の間で保たれてたギリギリの均衡がそれこそ雪崩のように崩れていく…というシュールコメディドラマ。

面白かったです!
ただ想像以上にディープなので男女であんまし見ないほうがいいかも笑笑

○GOOD
・設定がもう面白そうということで
割りかし期待大だったのですが、
想像通りの面白さ!に加えて
男女の1番恥ずかしいイヤァ〜〜な
ところを絶妙なバランスで
見せつけてくるこの感じ。
男女の各々違った『面倒臭さ』…そこを切り取るのが大変上手な映画でした。
人の家庭の喧嘩に仲裁に入った結果、我が家でも喧嘩…って家庭を持ったことがないからわからないけどめっちゃありそう。
特に女性側が蒸し返す感じも…言っちゃ悪いけど凄いありそう。
人がいる前で蒸し返したくなる、ってのは有るんだろうね、なんかね。男にとって1番嫌だからあえてかね。あれね。
ほいで、男が絶対に非を認めないで、見解の違いとか宣う感じもすげぇわかる。僕はどうしても男なので男に肩入れしてみるが、それでもめちゃ情けなかった。

・男には社会的男性としての機能(家族を守る・女にモテる・仕事ができる)が貶されることが許し難い。
女には事実と異なるその姿を人様には隠して笑ってるのが許し難い。その為彼の逃亡行為を追及するが一向に答えない。おそらく彼が悪かったと一言真摯に謝ればいくらか和解の余地があるのだが、しない。できない。男としての沽券に関わるからだ!
という情けない『男像』。それを活写するのが非常に巧み。
また、その『男像』も社会や未来の花嫁となるやも知れぬ数多の女性達からの無言の要求、ある種文化が生み出したプレッシャーなんだということも感じ取れる塩梅。
女性の権利運動が発展を見せる昨今の逆をいく、『男も辛いよ〜非常に情けなくて見てられないよ編〜』というかんじ。ほんと、こんなん今時ダメだけど今の世の中って女尊男卑な面も多いと思う。

・こどもの目線が絶妙。大人(特に主人公の夫)から見た子供のちょっと気難しさとかが『わかるわぁ〜、ちっさい頃こうだったわ…』と思い出すレベルでリアリティあった。スキーに行っても意外と嬉しくないんですよね子供って。下った後は足のボードがいちいち邪魔でイライラしてたわぁ〜って。それをいちいち子供に喋らせないのもいい演出。

喧嘩が激化するたびに、彼ら夫婦は子供に気を使って廊下に出て話し合うのだけど、そんなことって案外子供に関係ない。
『部屋から2人が出ていく』『廊下から声が漏れ聞こえる』これだけのことが幼い頃にはどれだけ怖いことか。
また、冒頭の母が清掃員がいる部屋に娘たちを押し込めて廊下で夫と口論する展開と、その後の子供達の反応も秀逸。
妻は子供のことを考えなかった夫を責めたい気持ち一杯だけど、まさにその瞬間にも子供目線では恐ろしい体験をしてることには盲目的になる。不思議な話ですがこれもまたリアル。というか実際にこういう幼少期を送ってたので正直子供に感情移入しすぎて見てられんかった。

父親が泣き叫んだ時に抱きしめてやれる子供めっちゃええ子…ドン引きだわな普通😂母親は『パパは悲しんでるだけ。収まるわ』というね。父親が何に泣いてて子供が何を察してるか理解できないという。子は鎹、と言いますがまさに子供を介して家族が繋ぎとめられてる象徴的なシーン。

・物語の始まりとなる旦那がやってしまう最低の行為が、最高。情けなさすぎて笑うしかない。あの時の叫び声めちゃ好き。

・男の自信の復活の物語としてかなり好き。カッコいいと言われ喜びも束の間、人違いでした…ってシーンで男の自信なんてものは結局女の人の評価次第でぐらつくという悲しい事実を見せつけられて、
認め難い自分の弱さもちょっと引くくらいさらけ出した後、頑張って奥さんと子供たちと仲直りするのは普通に王道展開で思ったより良かった。

・雪山の山頂で男2人が叫ぶシーン最高。

・ラストは奥さんが旦那と同じことを結果的にしちゃうという…嫌ぁ〜ね笑ほんと。
途中で説明されてた通り、生死を分ける際の咄嗟の行動なんて倫理観やらで賄えないものなのかも。大切なのはその後それを受けてどうするか…旦那は吸わなかったタバコを吸い出した…これはもう一波乱ありそうですね笑

○bad
・反面、家族の再生の物語としてはちょっと男性側に目線が偏りすぎかな…?とも。前半は女性視点から入ってる分不公平に感じた。まぁ、ワイ男だし映画として面白いのでいいんですが笑

○感想
結婚ってやっぱ大変そう…笑
jonajona

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