停滞

ソニはご機嫌ななめの停滞のレビュー・感想・評価

ソニはご機嫌ななめ(2013年製作の映画)
4.0
これも面白いんだ、長回し&ドスンと構えたカメラでセリフのやりとりとしての一対一の会話を生み出してくる。正直、それぞれのシーンが断片的でソニを含め連続性を持った心情はほとんどわからない。

だが良い、三人の男との会話を通して鑑賞者はソニという人間を知ったかのようになるが、実際は彼らそれぞれが共通にもつイメージを抱かされてるだけのようだし、教授のシーンにあるようにイメージは変わってしまう。

それが反復の中の差異を通して感じられる。非常に似たようなシーン、でもどこか違う、実験のようにある条件が違うから差異がわかる。だが終わってみると自分が抱いたソニのイメージはどこか腑に落ちない。空を切ったよう。

人を他者が抱くイメージの総体と仮定した時、今回は三人のイメージの総体としてソニが提示されるが、表層を撫でるだけで内奥に全く近づけていない感覚、真実の不在、それがどこか羅生門を思わせる。
停滞

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