たわーりんぐいんふぇるの

テロ、ライブのたわーりんぐいんふぇるののレビュー・感想・評価

テロ、ライブ(2013年製作の映画)
4.0
爆破テロをライブ中継する社会派エンターテイメント。アイデア勝負のワンシュチエーション作品で、何度観ても楽しめます。
テレビからラジオに左遷されたアナウンサー、ヨンファ(ハ・ジョンウ)が、トーク番組の進行中に受けた爆破予告のいたずら電話(?)から始まる爆破犯との心理戦。

局前のマポ大橋が爆発炎上。この前代未聞のスクープを利用して、ヨンファは自らの復帰を図ろうとする一方、スタッフや上司も損得しか頭にない。他局のメディアも視聴率を上げることに必死で、もはや社会性は存在せず、ジャーナリズム精神が崩壊している現実が浮き彫りになる。

犯人の要求は大統領の謝罪。謎めいた犯行動機、先の展開に対する緊迫感、各場面のスリリングな展開とスリラーとしての演出が印象的で、物語はテロが単なる復讐ではなく、継承された点にも踏み込んでいる。これがヨンファを引き戻す巧妙な伏線となります。

ラストでは崩壊したはずの社会性を超越し、一人の人間としてのヨンファの行動が救いになる。約100分の短い尺ながら、サクッと観れ、スピーディーな展開が飽きさせません。
ただし、犯行に至る背景、例えば「これまでの暮らしぶり」や「背後に潜む深層に迫る」などを、もう少し丁寧に掘り下げていれば、物語に厚みが加わったのではないかと思います。