kkkのk太郎

レゴ(R)ニンジャゴー ザ・ムービーのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

レゴブロックを題材にしたアドベンチャー・コメディアニメ『レゴムービー』シリーズの第3作にして、ニンジャの少年ロイドを主人公に据えたスピンオフ作品。

”ニンジャゴーシティ”を我が物にしようと企む悪党ブラックガーマドンと戦う謎のニンジャ軍団。そのメンバーの1人、グリーン・ニンジャのロイドはガーマドンの息子だった。
彼の16歳の誕生日、自分のことを気にかけず性懲りも無く街を襲い始めるガーマドンに、ついにロイドの怒りは爆発してしまう…。

主人公ロイド・ガーマドンの声を演じるのは『ウォーム・ボディーズ』『グランド・イリュージョン』シリーズのデイヴ・フランコ。
ロイドの師匠、ウー先生の声を演じるのは『ラッシュアワー』シリーズや『ベスト・キッド』の、レジェンド俳優ジャッキー・チェン。またジャッキーは、古物屋の店主役として実写でも出演している。
ニンジャ軍団の一員であるレッド・ニンジャ、カイの声を演じるのは『アントマン』『オデッセイ』のマイケル・ペーニャ。

なお、これまでのシリーズ作品でおしごと大王やバットマンの日本語版声優を務めてきた山寺宏一は、本作ではブラックガーマドンの日本語吹き替えを担当している。

7000万ドルの製作費に対し、興行収入は1億2000万ドル程度。興行的には『レゴムービー』シリーズ初の失敗作となってしまった本作。
『LEGOムービー』(2014)が4億7000万ドル、『レゴバットマン』(2017)が3億ドルを稼ぎ出したことと比較すると、本作のコケ方がいかにド派手なものなのかがわかるだろう。
これだけコケたのだからさぞかし駄作なのだろうと思っていたのだが、嬉しいことにその考えは杞憂に過ぎなかった。なんだよ今作も十分面白いじゃん!!

自分のようなレゴ弱者は、そもそもこの『ニンジャゴー』が何なのかよく知らない。
『レゴバットマン』はまだわかります。バットマンは『LEGOムービー』の主要キャラクターだし。でも、この『ニンジャゴー』はさっぱりわかんない。過去の映画作品には登場してないし…。一体この人たち何?

という訳で調べてみました。
「ニンジャゴー」は2011年に発売が開始されたレゴシリーズ。2012年からはテレビアニメ化もされており、それは現在まで続くご長寿番組となっている。へーそうなんだ。
テレビ版の方をチラッとだけ見てみたけど、どうやらこの映画とはストーリー的な繋がりはないみたい。ただ、キャラクターの背景や設定には共通している点も多いようなので、この映画を観るにあたりテレビ版を事前に視聴しておくと、よりこの世界観に入り込めるかも。

本作が興行的に失敗した最大の原因は、レゴとワーナーが「ニンジャゴー」の世間的な知名度の見積りを誤ったことだと思う。
おもちゃの売れ行きが良いのだから映画化したのだろうが、正直一般的にはあまり知られていない。テレビアニメだって子供かよっぽどのレゴマニアしか見ていないだろう。
そこが「バットマン」との大きな違い。バットマンならレゴに興味関心がない人たちにも広く知られている訳で、いちいち「バットマンの正体は実は大金持ちで〜」とか「ジョーカーという悪役がいて〜」とか、そういう説明をせずともスッと映画を始める事が出来る。
だが、「ニンジャゴー」の場合はそうはいかない。広い層に観てもらうためにはニンジャ軍団のメンバーやガーマドン、そしてニンジャの中に眠る”エレメント”、そう言ったことに対する説明が必要になる。
本作はこの辺りの説明やお膳立てを極力排除。ニンジャ軍団はニンジャゴーシティの人々にヒーローとして認知されており、宿敵ガーマドンとも既に何度も手合わせをしている模様。
つまり、この映画はスーパーヒーロー映画にはつきものであるオリジンストーリーをすっ飛ばし、いきなり本題に入っている訳です。

色分けされた6人のニンジャ軍団という設定は日本の「スーパーヒーロー戦隊」、アメリカ的にいうなら「パワーレンジャー」をモデルにしているのだろうが、同じくパワーレンジャーをモデルしていると思われるディズニー制作のスーパーヒーロー映画『ベイマックス』(2014)はチームのオリジンストーリーを丁寧に描いていた。
作劇としてどちらが正しいとか間違っているとか、そういうことを言いたいわけではないが、本作と『ベイマックス』のどちらが飲み込みやすいかと言われるとそれはやはり後者。
本作は6人もメンバーがいる上、レゴのデザイン上それぞれの見た目に大きな違いが無いので、正直言って誰が誰やら全然覚えられない。
ただでさえ飲み込みづらいのに、その上何故かメンバーの1人が実はロボだという謎設定もあり、ますますこのチームのことがよくわからなくなってくる。
ロイドとガーマドン、父と息子の物語にフォーカスしたかったのはわかるのだが、それなら6人もメンバー要らんやろ3人くらいにしとけ、という気がしないでもない。元々の設定が6人なんだからそこは仕方ないのかも知れないけどさぁ、それなら定石通りチームのオリジンストーリーを描いた方が良かったんじゃない?
とまぁ、正直この映画の世界観やキャラクターたちには乗りづらかった。ただ、それは自分がニンジャゴーについて全くの無知だったからだろう。ニンジャゴーのアニメを観ているという人や、ニンジャゴーのレゴで遊んでいるという人ならすんなりと受け入れられるんじゃ無いかな?

映画の内容は、前にも述べた通り普通に面白い!!
『レゴムービー』シリーズ恒例のオフビートなギャグ、刺激的な映像体験、そして感動的なストーリーは本作でも十分に発揮されています。
そして本作一番の見どころは、何といってもジャッキー・チェン!ジャッキーが出てくるということです!
オープニングロゴで遊ぶというのがこのシリーズのお約束ですが、本作ではオープニングが何故か香港映画風。何でニンジャ映画なのに香港風なの?とか思わんことも無いが、そこは一先ず置いておこう。そのオープニングが終わると、まさかのいきなり実写パートがスタート。実写パートがクライマックスだった『LEGOムービー』とは対照的な作りです。
出てくるのはいじめられっ子の少年。その少年がしょんぼりしながら怪しげな古物屋の扉を開けると、そこにいるのは!!出ました我らがジャッキー・チェン!!

いやー、もうね。こういうサプライズ・ジャッキーを用意されるともう無条件で花丸あげたくなっちゃう。これだけでこの映画大合格!💯✨にっこりにこにこ破顔の笑み😊
ジャッキーはニンジャじゃなくてカンフーマスターだろ!いい加減にしろ!!…とか、そういう尻の穴が小さいことを言う奴には怒りの怪鳥蹴り。アチョー!!
…まぁ実際のところ、この映画のアクションは1ミリもニンジュツじゃ無いんだけどね…。完全にカンフーなんだけどね…。

この映画、実はジャッキーは俳優/声優だけでなく、アクションスタントも担当しています。
我らがジャッキー・チェンは子飼いのスタント軍団に作中のアクションを実際に演じさせ、監督はその動きを基にアニメーションを作り上げている。つまりこの映画、レゴアニメの皮を被った純度100%のジャッキー映画なのです!!
ジャッキーが偉いのは、ちゃんとキャラクターがレゴであることを念頭に置いてアクションを演出しているところ。メイキングを見ると、ジャッキーは人間にアクションを演じさせるのと同時に手元にあるレゴを動かし、どうすればアクションシーンが面白くなるのかについて考えを巡らせている。「レゴなんだし、相手の頭にくっついて戦ったら面白いよね!」みたいな感じの、柔軟な発想でアクションを構築していく様は流石ジャッキー!アニメという分野でもその演出家としての才を存分に発揮しています♪

という訳で、子供向けのようで実はジャッキー直撃世代のオッさん向けという、何だかよくわからないアニメ。全然ヒットしなかった訳だが、そもそもヒットさせるつもりがあったのかすら疑問である。
宣伝とかでジャッキー映画だということを全面に押し出していればもっと広まったんじゃないかなぁ。この映画のことを知らないジャッキーファンも結構いるだろうし、そこは勿体無い気がする。
とは言え、今の時代ジャッキーでそこまで客は呼べないか…。そう考えるとちょっと寂しい…。
とはいえ、この映画のジャッキー愛は本物。何たって本作のエンドロールにはジャッキー映画お馴染みのNGシーンがついてるんだから!もうこれ見ただけで落涙しそうになっちゃった…🥹

レゴのことを知らなくても、ジャッキーファンなら絶対に見てほしい一作!!
ニャジラも出るよ🐈🐈🐈可愛いよ🐈‍⬛🐈‍⬛🐈‍⬛
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